車の本革シートと合皮シートの違いとは?選び方・傷み方・修理法をプロが解説

自動車車内
お客様

ボディーはピカピカなのにシートだけボロボロで、乗るたびに気が滅入ります…

シートリペアのご相談で、こうした声をいただくことは少なくありません。

本革シートと合皮シートは見た目が似ていても、素材の性質がまったく異なります。当然、傷み方も違えば、修理のアプローチも変わります。

この記事では、多くの本革シート・合皮シートをリペアしてきた経験をもとに、両者の違い、メリット・デメリット、そして傷んだ場合の対処法と費用の目安までお伝えします。

まずは本革と合皮の違いを一覧で確認してみましょう。

本革シート合皮シート
素材動物の皮を鞣(なめ)した天然素材基布に合成樹脂を貼り合わせた人工素材
質感・高級感◎ 独特の風合いと手触り△ 近年は向上しているが本革には及ばない
価格高い(一脚数十万円以上)本革より安い
温度変化夏は熱く、冬は冷たくなりやすい比較的感じにくい
傷み方少しずつ擦れて色剥げ・ひび割れへ基布と表皮が剥離し、突然大きく破れる
経年変化味わいになることもある加水分解でボロボロになることがある

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

目次

本革シートと合皮シートの違いとは?

本革シートの特徴

「本革」とは、動物の皮(主に牛の皮)を鞣(なめ)して製品として使用できるようにしたものです。

動物の皮はそのままでは腐敗して硬くなってしまうため、「鞣し剤」という専用の化学物質で改質し、柔軟性や強度を与えます。さらに着色(染色)や加脂を施し、耐久性のある革に仕上げます。

本革の製造方法

本革の作り

一般的な革製品に比べて、自動車シート用の本革はかなり丈夫に作られています。車内は夏場の高温、冬の厳しい寒さ、直射日光、搭乗者の汗や飲みこぼしなど、過酷な環境にさらされるためです。そのため、特殊な表面加工が施され、耐久性が高くなるように処理されています。

合皮(合成皮革)シートの特徴

合成皮革とは、天然の本革に似せて作られた人工素材です。ベースとなる布地(基布)の上に、ポリ塩化ビニールやポリウレタンなどの合成樹脂を貼り合わせることで、本革のような見た目や質感を再現しています。表面には天然皮革に似せた模様も人工的に付けられています。

合皮の作り

本革と同様に、自動車シート用の合皮も一般的な合皮製品より耐久性が高く作られていますが、素材の構造が根本的に異なるため、傷み方にも大きな違いが出ます(詳しくは後述します)。

意外と知らない事実|本革シートにも合皮が使われている

「本革シート」という名前から全面が本革だと思われがちですが、実はほとんどの車種で一部に合皮が使われています。

座面や背もたれなど、直接肌が触れる部分には本革が使われていますが、シートの側面や背面には合皮が使われていることが多いのです。

リペアの現場では、本革の座面はまだ綺麗なのに、合皮が使われている側面部分だけがパックリと破れているというケースを日常的に見ています。「なぜ座面は大丈夫なのに側面だけ破れるの?」と不思議に思われるお客様が多いのですが、答えはシンプルで、使われている素材が違うからです。

このことを知っておくだけでも、シートの傷みを見たときに「本革部分の問題なのか、合皮部分の問題なのか」を判断でき、適切な対処がしやすくなります。

本革(レザー)シートとファブリック(布)シートとの比較は、下記の記事で詳しく解説しています。

レザーシートとファブリックシートはどちらがいい?メリットとデメリットとは

本革シートのメリット・デメリット

メリット(高級感・経年変化の味わい・掃除のしやすさ)

素材ならではの高級感

本革シートの最大の魅力は、やはり天然素材ならではの質感と高級感です。滑らかで柔らかい手触り、革独特の匂いや風合いは、高級車の車内の雰囲気を格段に高めてくれます。

使い込むほどに味わいが出る

本革は天然素材であるため、使い込むうちに独特の風合いや色合いが変化していきます。小さな擦れや色の変化が、かえって味わい深さを増し愛着を育んでくれるのも本革ならではの魅力です。

掃除がしやすい

自動車用の本革シートには特殊な表面加工が施されているため、基本的な手入れは水に濡らした柔らかいタオルを固く絞って軽く拭くだけで十分です。布シートのように繊維の奥に汚れが染み込みにくいため、日常の掃除は格段に楽です。

デメリット(価格・温度変化・劣化時の見栄え)

価格が高い

本革は合皮に比べて高価な素材であり、製造にも多くの手間と時間がかかります。シート一脚あたり数十万円以上するのがほとんどです。

夏は熱く、冬は冷たい

本革は合皮よりも熱や冷気を伝えやすいため、夏場は座面が熱くなり、冬場は冷たく感じます。シートヒーターやシートクーラーを搭載している車種もありますが、未搭載の場合は乗り始めの不快感を感じやすいです。

傷みが進行すると見栄えが悪くなる

ほどよい使用感は本革の味わいになりますが、その限度を超えて色剥げやひび割れが出ると話は別です。素材の下地が露わになり、古臭い印象を与えてしまいます。リペアのご相談で「ボディーは綺麗なのにシートだけ恥ずかしい」というお声をいただくのは、まさにこの状態です。

合皮シートのメリット・デメリット

メリット(低価格・温度変化に強い・デザインの自由度)

本革に比べて価格が安い

合皮は本革に比べて低価格なため、コストを抑えたい方に適しています。

温度変化を感じにくい

合皮は本革に比べて温度の伝わりが穏やかで、夏場の熱さや冬場の冷たさをあまり感じにくいのが特徴です。シートに座った瞬間の不快感が少ないのは、合皮の利点のひとつです。

デザインの自由度が高い

合皮は色やデザインが豊富で、本革では難しい特殊な加工も施すことができます。様々な形状に成形できる柔軟性があるため、個性的なデザインのシートが作れるのも合皮ならではの特徴です。

デメリット(高級感の限界・加水分解による劣化・熱に弱い)

質感や高級感では本革に及ばない

合皮の製造技術は年々向上していますが、やはり本革ならではの手触りや風合いを完全に再現することは難しいのが現状です。高級感やプレミアム感を重視する方には、物足りなく感じるかもしれません。

加水分解で表面がボロボロになることがある

合皮に使われるポリウレタン素材は、年数が経つと空気中の水分と反応して徐々に分解されます(加水分解)。表面がベタベタしたり、触るとポロポロと剥がれ落ちるようになるのがこの現象です。

リペアの現場でも、「特に擦ったりした覚えはないのに、表面がボロボロになった」というご相談をいただくことがあります。これは使い方の問題ではなく素材の特性によるものなので、手入れで完全に防ぐことは難しいのが正直なところです。

熱に弱い

本革に比べて熱に弱く、タバコの火種などが触れるとすぐに穴が空いてしまいます。本革の場合は表面が焦げる程度で済むことが多いですが、合皮の場合は樹脂が溶けて穴になりやすいという違いがあります。

傷み方がまったく違う|本革と合皮の劣化パターン

本革と合皮では傷み方の特徴がはっきり分かれます。ここを知っておくと、自分のシートの状態を見たときに「何が起きているのか」が分かり、適切な対処がしやすくなります。

本革シート合皮シート
傷みの進行少しずつ進行する見えないところで進行し突然表面化
よくある症状擦れによる色剥げ・ひび割れ → 破れ基布と表皮の剥離 → 一気に大きく破れる
傷みやすい箇所運転席サポート部分(乗り降りで擦れる部分)シート側面(本革シートの合皮部分含む)
予防のポイント乗り降り時に身体で擦らないよう意識する素材の特性上、完全な予防は難しい

本革シートで多い傷み

革シートのひび割れ

私がこれまでリペアしてきた本革シートで圧倒的に多いのが、運転席のサポート部分(座面・背もたれの両サイドにある、身体を支える膨らみの部分)のひび割れや色剥げです。

乗り降りのたびに身体が擦れるため、どうしてもこの部分から傷みが始まります。特にレクサスやベンツなどの高級車オーナーの方から「シートだけ古臭く見えるのが気になる」とご相談いただくことが多いです。なかには、福岡県から2時間半かけてご来店いただいた方もいらっしゃいました。

傷みの進行パターンとしては、乗り降りの擦れによって塗膜の剥がれやひび割れが生じ、それが徐々に広がって最終的には破れに至る、というのが典型的な流れです。塗膜が先に剥がれる場合もあれば、ひび割れが先に出る場合もあり、進行の順序は個体差があります。早い段階であればリペアで綺麗に修復できますが、破れまで進行すると補修の難易度が上がり、リペア痕が残る場合もあります。

劣化した革シートの4つの対処方法のメリットとデメリット

合皮シートに多い傷み(基布の剥離 → 突然の大きな破れ)

合皮シートの破れ

合皮の場合、本革のように少しずつ擦れて色が剥げていくケースは少なめです。その代わり、ある日突然大きな破れや亀裂が現れるのが特徴です。

なぜ突然破れるのか?

合皮はベースとなる布地(基布)の上に合成樹脂の表皮を貼り合わせた構造です。この接着が保たれている間はしっかりとした強度がありますが、乗り降りの繰り返しや経年によって表皮が基布から剥離することがあります。

合皮

剥離が起きると、薄い表皮だけで荷重を受けることになるため、簡単に裂けてしまいます。リペアの現場で破れた合皮シートの裏側を見ると、ほとんどの場合で基布との接着が剥がれています。お客様は「突然破れた」とおっしゃいますが、実際には見えないところでじわじわと剥離が進行していたのです。

また、合皮は本革と違って経年で加水分解が進みやすく、年数が経つと表面がベタベタしたり、ポロポロと剥がれ落ちることもあります。これは素材の宿命ともいえる現象で、手入れで防ぐことは難しいのが正直なところです。

シートが傷んだときの対処法と費用の目安

シートの傷みが気になったとき、取れる選択肢は大きく4つあります。それぞれの費用・期間・仕上がりを比較してみましょう。

対処法費用の目安期間仕上がりこんな方に向いている
新品シートに交換10万〜70万円/脚 + 工賃部品取り寄せによる新品そのもの費用をかけてでも完璧にしたい方
表皮の張り替え10万〜20万円/脚数週間新品に近い純正の見た目を維持したい方
シートカバー数千〜数万円即日傷みを隠すだけとにかく手軽に見た目を改善したい方
インテリアリペア(部分補修)19,800円〜3時間〜革の風合いを残して修復純正の質感を活かしつつ費用を抑えたい方

費用も期間も大きく異なりますので、「どこまでの仕上がりを求めるか」を基準に選ぶのがポイントです。

私自身、お客様のお話を聞いたうえで、弊社では対応していない張り替えや交換をお勧めすることもあります。大切なのは、お客様のご要望に合った方法を選ぶことです。

対処法のさらに詳しい解説は下記の記事をご覧ください。

劣化した革シートの4つの対処方法のメリットとデメリット

部分補修(インテリアリペア)という選択肢

当店のインテリアリペアは、傷んだ箇所だけを部分的に補修する技術です。張り替えや交換と違い、シートを外す必要がないケースも多く、費用と時間を大幅に抑えることができます。

施工内容料金目安作業時間
革・合皮シートの擦れ・色剥げ19,800円〜3時間〜
革・合皮シートの破れ・穴あき26,500円〜4時間〜

※表示価格は消費税込です。傷みの程度により変動します。 ※正確なお見積りは、お写真をLINEまたはメールでお送りいただければ無料でご案内いたします。

完全に元通りにすることはできませんが、「この費用でここまで綺麗になるなら」とお喜びいただけるケースがほとんどです。

本革シートのリペア例

よくあるサポート部分の擦れ・ひび割れのリペア例です。ひび割れが全体に広がる前の段階でしたので、専用の塗料で下地を整えた後に再塗装することで、革本来の風合いを残しながら修復できました。

リペア前

本革シートのひび割れ

リペア後

本革シートリペア後

合皮シートのリペア例

合皮のサイド部分が大きく破れたケースです。基布から剥離した表皮を接着し直し、破れ部分を充填・塗装して仕上げています。合皮の破れはリペアの難易度が高く、完全に元通りにはできませんが、目立たない状態まで修復することは可能です。

リペア前

合皮シートの破れ

リペア後

合皮シートのリペア後

その他の施工事例は下記カテゴリからご覧いただけます。

革シート・レザーシートリペア(施工事例一覧)

まとめ|素材の違いを理解して、最適な選択を

本革シートと合皮シートは、見た目は似ていても素材の性質、傷み方、そして修理方法がまったく異なります。

これから車を選ぶ方は、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて自分のカーライフに合った素材を選んでください。すでにシートの傷みが気になっている方は、傷みが進行する前に対処することで、選択肢も仕上がりの質も広がります。

シートの状態が気になる方は、お気軽にご相談ください。お写真をお送りいただければ、最適な対処法と費用の目安を無料でご案内いたします。

代表の江頭が、最高の技術と材料で、真心を込めてリペア作業を行ないます!

代表江頭健二
エガ社長

自動車内装の傷みでお困りの方は、お気軽にご相談ください。インテリアリペアの詳細は下記リンクよりご覧ください。

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0952-47-7033

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インテリアリペア

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