今回は、保険屋さんからも全損(廃車)だと言われた酷い損傷の車を、修理して修復させた事例のご紹介です。
交通事故のご連絡
福岡県に住まれるお客様から交通事故のご連絡をいただきました。
家族で大分県にキャンプに行った帰りに、中央線を超えてきた対向車に衝突をされたそうです。
事故時の車の写真を送っていただきました。それを見ると想像を上回る交通事故での損傷でした。
事故現場は大分県だということで、近くの修理工場にレッカー移動をさせたそうです。
これは全損事故(廃車)で買い替えになるでしょうね‥
相手の保険屋さんからも廃車になるだろうと言われたそうです。
車検も通したばかりですし、思い入れもある車なので乗りつぶしたいと思っていたんです。できれば修理してでも乗りたいのですが…
家族でキャンプやお出かけに使った思い出深い愛車だとのことです。
写真で見る限りは修理もできそうですが、本来なら廃車にして買い替える選択をお勧めする損傷です。
お客様のご意向を最優先させたいので、私としても何とかして修理をして直してあげたいと思いました。しかしまずは実車を見ないと始まりません。
全損とは?
全損には二通りのケースがあります。
- 修理不可能な状態
- 修理費用が現在の車体価値(時価額)を上回る場合
1.は修理ができないほどの損傷の場合です。
2.は例えば現在の車両の価値が100万円なのに120万円の修理費用となる場合です。
今回のケースは、2.に当てはまると予想されます。保険からは時価額までしか補償がされません。
ですので、時価額を上回る修理をする場合は、追加費用をお客様が負担する必要があります。もしくはリサイクルパーツを使用したりして修理費用を抑える必要があります。
お車を弊社へ輸送
大分県までは遠すぎるので見に行くこともできません…実際に車を見れないのに不安も感じますが、積載車を手配して大分県から佐賀県の弊社に移動をさせました。
実際に見てみると思った以上に酷い損傷でした。一番気になるのが、リアのスライドドアのレールが潰れてしまっていることでした。しかし足回りやエンジンに損傷があるわけではないので、修理は可能だと判断しました。
下準備
保険屋さんとも打ち合わせをしながら、損傷具合の確認と必要な部品の洗い出しと注文、修理方法の検討など実際に修理に取り掛かるまでにも時間が掛かります。ここまででもなかなか大変です。
このような損傷ですと、見えない部分もありますので、実際に修理をしながらでないと分からない部分もあります。
おおかたの修理方法と必要な部品が洗い出されたら、いよいよ修理に取り掛かります。ここまでで2週間ほど費やしました。
鈑金工程
まずは、ドアやフェンダーを取り外し、シートや内張りパネル等も取り外します。
そしてボディー部分にも損傷がありますので、切り取って新品パーツを溶接して取り付けていきます。グレーの部分が取り替えた部分です。
これで鈑金作業の8割程度が終わったところです。ここまでで2ヶ月ほどが経過しました。ここでやっとゴールが見えてきました。
ドアなどのパーツの取り付けと調整
ここで並行して作業をしているドアを取り付けます。ドアの建て付けの調整や、電動スライドドアがきっちりと開け閉めできるかどうかを調整しながらチェックします。
きっちりとずれなくドアの開け閉めができることを確認しました。
修理塗装
立て付けの確認のために取り付けたドア類はまた取り外します。
溶接した部分はデコボコしているので、下処理をして塗装をしていきます。また新品と取り替えた部分は塗装がされていないので、そこも塗装します。
塗装作業は一番繊細な気を使い緊張する工程です。塗装担当はピリピリしているので話しかけることもできません…
車内のクリーニングやリペア
車内にはガラスの破片が飛び散って散乱し、同時に様々な箇所に傷をつけていました。
交換できるパーツは取り替えて、できないパーツは私得意のリペアで修復しました。
車内の飛び散ったガラスは、マットの下まで念入りにクリーニングをして、ガラスの破片を取り除きました。
各パーツの取り付け
外装の塗装や内装のクリーニングが終われば、最終仕上げで各パーツを取り付けます。ドアのゴムモールやミラー、ガラスなどの取り付けです。
そして修理が終わったのがこちらです。
期間は3ヶ月以上かかりました。せっかく綺麗になったのにヘッドライトが黄ばんで気になったので、勝手にサービスでリペアしました(笑)。
交通事故での自動車の修理もダイ・ケンオートサービスにご相談ください。自動車修理における保険屋さんとの交渉も全て請け負いますのでご安心ください。