経年によって、天井やボンネットのクリア層が剥げてくることがあります。初期症状は白い点々のように見えます。
時間が経つとだんだんとその点々が大きくなり、塗装面から浮いてきているのが分かるようになります。手で触ると盛り上がっているのが分かります。そして最終的にはクリア層が剥げてしまいます。
その場合に、
「クリアだけ塗装すれば綺麗になるのでは?」
と思われる方が多いようです。
天井とボンネットのクリアが剥げてきたので塗装してもらえますか?
クリア剥げの場合はただ塗装するだけではダメなんですよ‥
実際にそのようなお問い合わせも多くいただきます。しかしそう簡単にはいかないのです。
クリア剥げはクリア層の劣化が原因
クリア剥げは、紫外線や熱や経年による劣化が原因です。クリアが剥げていない残った部分も劣化していると考えられます。
ですので劣化したクリアの上からクリア塗装をしてしまっても、下に封じ込められた劣化したクリア層がすぐに剥げてくることでしょう。
そもそもそんな方法で塗装をしても綺麗にはなりません。クリア層が剥げたところとの段差は塗装では埋まりません。
クリア剥げの修理方法
クリア層の剥離
まずは劣化したクリア層を剥がさなければいけません。その方法はペーパー(紙やすり)で削り落とします。
この時に劣化した塗膜がとてもくさい匂いがします…腐ったような匂いです…
傷んだクリア層を削り落とすにはとても時間がかかります。削りすぎると歪みが残る原因にもなりますし、クリア層が残っていると綺麗な仕上がりにはなりません。細心の注意をしながらの作業です。
このクリア層の剥離が一番時間が掛かり大変な工程でもあります。
この工程をていねいにしっかり行わないと、きれいな仕上がりにはなりません。
下塗り
それからサーフェイサーという下塗り剤を塗装します。表面の小キズを埋めてをなめらかにしたり、上塗りの塗料の吸い込みを防ぐなどの目的があります。色の染まりを良くする効果もあります。またこの時点で歪みや巣穴(小さな窪み)があればラッカーパテ(薄めに塗るパテ)を塗ったり研いだりして滑らかな表面を作ります。
塗装
まずはカラーを塗装してからクリア塗装となります。塗装が一番技術が必要な作業です。
磨き
塗装が乾燥したら塗装面を磨き上げて完成です。ここで塗装面の肌を整えて美しく艶のある表面にします。
修理完了
このように、クリア剥げの修理は大変な作業が必要です。下処理をせずにクリア塗装だけをすれば良いというわけではないのです。