ドアを擦ったのですが、これを修理すると「修復歴あり」になって事故車扱いになるのですか?下取りの時に査定が下がるのか心配です。
鈑金塗装という車のボディーの修理方法がありますが、鈑金塗装を施した車は修復歴車(修復歴がある車)に該当するのでしょうか?
愛車にちょっとした傷や凹みができてしまった経験はありませんか?そんなとき、多くの人が「修理すると事故車扱いになるのでは?」「査定額が下がってしまうのでは?」という不安を抱きます。特に「鈑金塗装」という言葉を聞くと、「修復歴」や「事故車」というネガティブなイメージが頭をよぎるかもしれません。
しかし、実際のところ、どのような修理が「事故車扱い」になるのでしょうか?また、「修復歴」とはどのような状態を指すのでしょうか?この記事では、鈑金塗装と事故車・修復歴の関係について、分かりやすく解説していきます。
「事故車」は俗称
自動車業界では事故車という言葉はあまり使われません。それは俗称であって明確な定義がないからです。
イメージ的には、大きな事故に遭った車を想像する方が多いかもしれません。逆に少しの傷やへこみであっても、事故に遭った車を事故車と言うこともあるでしょう。大小に関わらず、過去に事故に遭って修理した車も事故車と言えます。
このように、人によって事故車というイメージが変わってしまいます。
一方で「修復歴車」には明確な定義があります。
「修復歴車」とは?
簡単に言いますと、主に自動車の骨格になる部分を修理していると修復歴車となります。修復歴ありの車とも呼ばれることがあります。
修復歴車は法律で定められている訳ではありませんが、自動車公正取引委員会、日本自動車査定協会などで統一基準として定義されています。
日査協、公取協などの統一基準として修復歴車と定義されているのは、骨格(フレーム)部位等を交換したり、あるいは修復(修正・補修)したものが修復歴車(事故車)となります。
一般財団法人 日本自動車査定協会 東京都支所 より引用
自動車公正競争規約施行規則第14条
一般社団法人 日本中古自動車販売商工組合連合会 より引用
規約第11条及び第12条に規定する「修復歴(車体の骨格に当たる部位の修正及び交換歴)」とは、販売する中古自動車について、次に掲げる車体の骨格に当たる部位を修正及び交換することにより復元されたものをいう。
① フレーム(サイドメンバー)
② クロスメンバー
③ フロントインサイドパネル
④ ピラー
⑤ ダッシュパネル
⑥ ルーフパネル
⑦ フロアパネル
⑧ トランクフロアパネル
これらの引用からも分かる通り、自動車ボディーの中の定められた8箇所のうちどれかを修復(修正・補修)したものが修復歴車となります。
修復歴車は事故車という大きな括りに入りますが、「事故車=修復歴車」という訳でないことが分かっていただけたかと思います。
例えるなら、iPhoneはスマートフォンですが、「スマートフォン=iPhone」ではないという事です。
天井(ルーフパネル)の塗装は「修復歴車」になる?
天井が紫外線等で劣化して、クリア剥げが発生する場合があります。それを修理したら修復歴ありの車になってしまうのでしょうか?
上記引用によれば、ルーフパネル(天井)の修正は修復歴車になります。ではこのクリア剥げの修理でも修復歴車になってしまうのでしょうか?
天井の外側(アウターパネル)の修理の場合は、修復歴車とはしないものとされています。ですのでこの天井のクリア剥げの修理は修復歴車にはなりません。
修復歴車のデメリット
修復歴車がなぜ査定額が下がるのでしょうか?それはやはり骨格部分を損傷して修理をした場合、走行や安全性に支障が出る可能性があるからでしょう。
ですので修復歴車のデメリットは主に、
- 走行や安全性に問題が出る可能性がある
- 査定額が下がる
の2点になります。
修復歴のある車は、修復してからすぐに問題が発覚することも多いです。逆に言えば事故などで一旦修復しそのまま何年も問題なく乗っている場合などは、他の修復歴車よりも問題を起こす確率は低いのかもしれません。
修復歴と修理歴の違い
ここまでを読んでいただいて、修復歴のことは理解いただけたと思います。上記の8つのフレーム部分以外の修理は、修復歴ではなく修理歴になるわけです。
例えばドアを酷く損傷しても、ドア取り替えだけなら修理歴になりますが、同時にフレームの修復が必要だった場合は修復歴になります。
修復歴は下取り査定に大きな影響がありますが、修理歴はそれほど影響はありません。ただし雑な鈑金塗装をされている場合は、下取り査定に影響が出やすいようです。ですので、車の修理工場選びは重要だと思います。
よくある質問
まとめ
事故車という言葉に明確な定義がないのに対し、修復歴車には明確な基準があるということが分かっていただけたと思います。板金塗装をしたからといって、全てが修復歴ありの車にはならないのです。
骨格の修復でなければ修復歴ありにはなりませんので、安心して鈑金塗装のご依頼をいただければと思います。